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研究室より
2021.10.08 16:18

何故野菜は劣化するの? 呼吸の仕組みと劣化の関係を調査!!

皆さんは野菜が劣化していく原因をご存じですか?
なんとなく日にちが経つとカビが生えたり腐ってしまうイメージはあるかと思いますが、では何故そんな劣化が起こってしまうのか。
その理由を今回は調査したいと思います!

 

劣化のカギは呼吸にある?
実は野菜も人間と同じように、酸素を吸って二酸化炭素を出すという「呼吸」を日々行っています。この呼吸を行うことで吸った酸素を内側で蓄えていた糖と反応させ、二酸化炭素と水、そしてエネルギーを生み出します。
また野菜は収穫された後も絶えず呼吸を続けているので、収穫後はどんどん鮮度が劣化していってしまうのです。
この呼吸の量は作物によって異なり、更に温度や周囲の環境ガス、振動などからも影響を受けてしまいます。
では収穫された後の呼吸で何故劣化してしまうのか、詳しい内容をご説明します。
呼吸によって起こる劣化現象

野菜が呼吸を続けることによって引き起こされる劣化の原因は大きく分けて2つあります。

①糖の消費による劣化
先程もお伝えしましたが、人間と同じで野菜も内側に蓄積している糖と吸った酸素を反応させることで呼吸を行います。
では実際に呼吸を化学式で表してみましょう。

野菜は土に根を張っている状態で光合成等を行って糖を蓄積しますが、収穫された後は糖の供給がストップしてしまうため、備蓄していた分を消費することになります。つまり、呼吸をすればするほどその青果物の栄養価が減っていってしまうということなのです。
そして最終的には溜めていた糖が底をつき、エネルギーの生成が困難となることで生命維持に影響が及ぼされ、腐敗等の鮮度劣化が生じてしまうのです。

②エチレンガスによる劣化
一方で青果物は私たち人間とは異なり、エチレンガスを放出します。エチレンとは植物ホルモンの一種で、青果物をよく言えば【成熟】、反対に悪く言ってしまえば【老化】させる物質のことです。
放出する量や、それによって受ける影響の大きさは作物によってそれぞれ異なりますが、呼吸量が多いとエチレンの生成量も多く、エチレンの濃度が高くなると青果物の熟度・老化は促進されることになります。

●エチレンガスの影響を受けやすい青果物の一例
・トマトやきゅうりなどの果菜類
・キャベツ、レタス、アスパラガス、ブロッコリーなどの葉菜類
⇒トマトやキャベツなどは腐敗や変色、ブロッコリーなどは硬くなったりカビの発生に繋がります。

呼吸量を抑制する3つのポイント
①低温保管による呼吸抑制
温度が高ければ高いほど野菜の呼吸量は大きくなるため、低温保管は呼吸量抑制に対し非常に有効であると考えられています。
品目にもよりますが、10℃差でなんと倍近く呼吸の量が変化するケースもあるんです!
こういった点から青果物の輸送の際は収穫直後からの低温保蔵(コールドチェーン)が理想とされています。
多くの野菜を自宅の冷蔵庫で保管するのもこうした理由からなんですね。
②エチレン受容の抑制
先程もお伝えしたように作物によって呼吸量と熟成する速度の関係は様々ですが、一部では呼吸量と追熟速度が比例する作物もあります。その場合はエチレン濃度が高いと追熟速度が増してしまうので、除去剤を使用するなどしてエチレンを取り除き、追熟する速度を抑え、呼吸量も抑制する必要があります。
③MA(Modified Atmosphere)包装
呼吸に必要となる酸素の量を抑える、低酸素・高二酸化炭素状態(いわゆる酸欠状態)の環境にすることで野菜の呼吸量を抑制することも可能です。このように酸素の量を調整して適切なガス環境を実現する包装をMA包装と言い、適度なガス透過性を持つ機能性フィルムや微細孔が開いているフィルムなどが基材として用いられています。

 

呼吸量の多い作物はその分鮮度の劣化も早まります。しかし呼吸量は作物によって様々なので、その作物に合った方法で呼吸量を抑制しなければなりません。
今回ご紹介したように抑制する方法はいくつかありますが、その中でも特に低温保管は多くの作物に効果を発揮するので、まずは購入した野菜を冷蔵保存するところから野菜の鮮度保持に繋げてみませんか?

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